参考になる書籍

以下に私がアナログ回路修得のために買った本を紹介します。

「サウンドクリエイターのための電気実用講座」(大塚 明 著,洋泉社刊)

この本は抵抗、コンデンサ、トランジスタなどの主要な部品をわかりやすく説明して、最終的にはオペアンプ(非常に増幅率の高い低周波用アナログIC)を使った回路を説明しています。音楽バンドを組んでいる人が各種機器のセッティングを行う時、この本の内容を熟知してれば、問題ないでしょう。しかし、この本だけの知識では、せいぜい低周波(人間の耳が聞こえる範囲の音波の周波数)程度の設計だけで、しかもオペアンプに限ったものだけです。オペアンプは多くのトランジスタが集積されたものです。トランジスタ回路が組めるのなら、最終的にはオペアンプそのものも設計できます。そして、市販のオペアンプの使用も内部のことを良くわかって使うのであれば、オペアンプの実力を十分に発揮できる回路も設計できるでしょう。



「絵ときトランジスタ回路」 (飯高成男 椎名晴雄 田口英雄 共著 オーム社刊)

アナログ回路全般の説明をわかりやすく説明している。ただし、この本で紹介されている回路を一から設計することは困難だと思われる。電子工学全般の「さわり」の部分を学習するにはいい本だと思う。また、ある程度技術を習得した後に読み返してみると、これまで習得した技術や知識の整理になると思います。


「定本 トランジスタ回路の設計」
「定本 続トランジスタ回路の設計」
「新・低周波/高周波回路設計マニュアル」
(3冊とも 鈴木雅臣著 CQ出版社刊)

これらの鈴木雅臣氏の本は筆者にとって一番わかりやすく、かつこの本で本当にトランジスタ回路が設計できるようになった本です。ほとんどのトランジスタ回路設計の本は、負荷線と呼ばれる非常にわかりにくいグラフを元に設計法を教えているのですが、この本を読めば四則演算ができる人なら誰でも設計できると思うでしょう。中学生程度の数学が出来ていればまず問題がないと思ってしまいます。
 「定本 トランジスタ回路の設計」はトランジスタ(バイポーラトランジスタ)の設計を主に解説して、最終章ではディスクリート素子(個別素子、ICを使わないでトランジスタだけ使った)だけによるオペアンプの設計法も解説しています。
 「定本 続トランジスタ回路の設計」では主にFET(電界効果トランジスタ)の設計法を解説し、FETが得意なスイッチング回路の応用として、モータドライブ回路、スイッチング電源の設計も解説しています。 「新・低周波/高周波回路設計マニュアル」は上記の2冊より高度な内容で、より実践的な知識を解説しています。上記の2冊ではほとんど取り上げていない、ラジオの設計で必要な高周波回路設計の解説もこの本で解説されています。



「定本 発振回路の設計と応用」 (稲葉 保著 CQ出版社刊)

あらゆる発振回路の設計法を解説している。かなり丁寧に解説していると思うが、実際に回路を作って何度も試さないと納得するものが出来ないだろう。筆者は主にLC発振回路の部分を重点的に読んで応用したのであるが、ひずみのない波形の綺麗な波を作り出すのに相当苦労した。ラジオでは受信周波数に局部発振回路が出す周波数を重ね合わせて中間周波数を作り出す回路が必ずあるが、そこで必要なのが周波数を可変できる局部発振回路(VCOとかVFOと呼ばれている)で、この部分はディスクリートだけで作るには相当な経験が必要だ。現在ではPLLという技術やDDSという直接波形を生成する1チップICで代用するようになってきたが、PLLも結局はディスクリートのVCOが作り出す波形を元に周波数制御を行なっているので、今でも難しく、職人的な技術が要求される部分だと思う。特にHF帯の無線機はこのVCOの性能が受信性能にもろに響いてくる。




「高周波回路の設計・製作」
「ラジオ&ワイヤレス回路の設計・製作」
 (共に鈴木 憲次 著 CQ出版社刊)

「高周波回路の設計・製作」は若干高度な内容である。この本を理解するには多分大学で習う数学の知識(三角関数を使用した微積分の知識や複素数を使った演算)とトランジスタ回路の設計法をある程度知っている必要がある。また、この本は後で紹介する「トロイダル・コア活用百科」をタネ本としていると思われる部分がある。(この「トロイダル..」も難しい本だ)
「ラジオ&ワイヤレス回路の設計・製作」は単に紹介されている回路を組み立てて遊ぶには小学生程度でもOKだと思うが、紹介されている回路をほとんど理解するには、ある程度設計法が紹介されているとは言え、難しいと思う。また、これらの本を見て一から回路を設計できる力はできないと思われる。




「トロイダル・コア活用百科」 (山村 英穂 著 CQ出版社刊)

トロイダルコア(コイルを巻きつけるリング状のコア)を使用した回路例を多岐にわたって説明している。主にアマチュア無線機関連技術を扱っている。簡単な手順を示して各種回路の設計法を示しているが、その導出過程を示していないので応用が利かない。多分相当高度な数学的知識を要するのだろう。実際、数学的知識を要求する部分が多く高度な内容である。回路例は今となっては相当古い感じを受けるが、今でも第一線の技術者の参考文献になっているようだ。回路を深く理解するには高度な内容だが、単に解説されている回路をそのまま使うか、ちょっとの応用ならそんなに難しくはないと思う。数学的知識が乏しい人なら、何度も回路を試しながら知識を深めることも可能だと思われる。




「ビギナーのためのトランシーバー製作入門」
「ビギナーのためのトランシーバー製作入門 AM SSB編」
(共に千葉 秀明 著 CQ出版社刊)

高周波回路の実践的な知識を多く紹介している本で、この本だけで一から回路設計できるとは思えない内容である。回路の説明で、個々のトランジスタに付けるコンデンサの容量や抵抗の値までも指定していることから、普遍的な回路設計の知識は付きにくいと思われる。数学的知識はほとんど要らない内容だ。
しかし、実際にトランシーバーという完成品を組み立てているのは重要である。
結局使うのは完成品なので、完成品の性能が良くなければ個々の回路がどんなに優れていてもダメなのである。
また、これらの本は高周波回路技術に必須な実装技術について丁寧な解説をしている。




「トランジスタ回路入門講座2 増幅回路の考え方 改訂2版」
             (雨宮好文 小柴典居 監修 砂沢学 著 オーム社刊)
「トランジスタ回路入門講座3 発振復調回路の考え方 改訂2版」
             (雨宮好文 小柴典居 監修 小柴典居/植田佳典 共著 オーム社刊)

典型的な電子回路についての教科書で大学生を対象としているようだ。一般的にこのような教科書として使われる本は実体とかけ離れていてわかりづらいものが多いが、数式の展開が非常に丁寧でわかり易い方だと思う。逆にCQ出版社の方は実践的な内容が主で、時々数式が唐突に出てきて、それについての深い理解をしている人だけしか通用しない記述をしているので、それを補完するための副読本的な使用も可能だ。しかしこの本だけで学習していては、かなりフラストレーションがたまると思う。理論的な裏づけを得たい時に読むべき本だ。



「なるほど虚数 理工系数学入門」
「なるほど微積分」
        (共に 村上雅人 著 海鳴社刊)

言うまでもなく電子工学は数学的裏づけがあって成立している。
特に交流回路や無線技術で使用される各種変調方式は、三角関数、微積分、複素数(虚数)の知識に長けていないと理解できない。コンデンサとコイルを含んだ回路だけでも、いきなり複素平面を使用した解説がされているので、その本質を学ぶためには複素数や対数関数、指数関数、三角関数についての理解が必要である。この本は上記の数学の他にも、微積分はもちろん、高調波の概念の理解や周波数解析には必須のフーリエ解析の理論的背景も述べているので読むべきところは多い。
 村上雅人氏の数学の本は他の数学を解説した本とは違い、かなりくだけている。要するに数学を駆使した各種研究や解析を行っている人の生の感覚での使い方を、さわりではあるが紹介し、自らの数学に関する見解も正直に述べ、解説している数学の効能と限界を述べているのである。
 くだけていると言うと、理論的な部分をすっ飛ばしているように思われるが、その反対である。
式の展開はかなり丁寧で、よく読めば、高校で数学を落第した人でも理工系の大学生でもちんぷんかんぷんだと思っている人が多いと思われる複素積分まで理解できるようになる。扱っている内容は結構高度なものまで解説しているのである。しかし、多くの数学の本を読んだ時に味わう、すぐに理解できないと感じてしまう大きな壁は感じられない。純粋に数学を学ぶ本としても優れている本だと思う。





「インピーダンスのはなし」 (伊藤健一著 日刊工業新聞社刊)

GHz帯の電子回路設計で必ず出てくるスミスチャート、インピーダンスチャートについて懇切丁寧に説明しています。高周波回路はインピーダンスが一致していないと信号がすぐに変化してしまうので、インピーダンスの整合を行なう技術は必須です。


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