抵抗、コンデンサ、コイルについて
抵抗は電圧、電流の値を減衰する働きがあり、意図した電位を作る時に使用する。
トランジスタ回路を組む時、コレクタ、ベース、エミッタにはそれぞれ適切な電位(電圧)が必要であり、それらの電位を作り出すために抵抗を使用する。
抵抗は、厳密には周波数特性(この場合周波数によって抵抗値が変化する)を持っており、雑音が発生したりするので、高周波の場合は低い抵抗値を選び、定格電力の少ないものを選ぶことになる。
一般に電子部品店にある安い抵抗(カーボン抵抗)は内部でコイルと同じ構造を取っている部分があり、高周波になるとインダクタンス成分(コイルの特性)が無視できなくなるので、精密な値を求めるにはより高価な金属皮膜抵抗を使うことになる。現在市販の電子機器は非常に小さな体積のチップ抵抗が使われるようになっている。
コンデンサは、電気を溜める部品であり、それだけだと単に電池の代わりとしての利用法が考えられるが、そういう利用法は電子回路では少ない。コンデンサは交流電流は通すが直流は通さない性質があり、その性質を積極的に応用している。
具体的には、両側の電位が違っていて、交流だけは伝達したい時に使用するカップリングコンデンサ(そういう製品名があるわけではない)としての使用である。
コンデンサはコイルと同様周波数特性をもっており、高周波電流は伝えやすく、直流に近い低周波は伝えにくい性質があるため、周波数特性を利用した回路、フィルタ(濾波器)や一部分のみを増幅する回路にも使われる。
静電容量(電気を溜め込める量.単位はF ファラドと読む)が小さいほど高周波を伝えやすく、大きな容量程、低い周波数を伝達しやすくなる。電源回路にある大きな電解コンデンサ(交流を直流に「ならす」ために使用している)は50〜60Hz程度の低周波交流に対応したものだから必然的に大きな値が必要になる。
コイルは、直流電流は通しやすいが、交流電流は通しにくい性質がある。もちろん、電気を通すと電磁石になるので、磁気を周囲に放出して電子回路に悪影響を与えるため、金属のカバーで覆われたタイプのものがある。
具体的なコイルの使用例は、コンデンサと組み合わせたフィルタや、交流を直流にする整流回路(電源回路に良く見られる。ノイズフィルタとも言われる)である。
コンデンサとコイルは周波数特性を持っていると同時に、交流電流の位相が変化する。コンデンサは元の交流の位相に比べて電圧のみが90度位相が遅れ、コイルは逆に90度電圧の位相が進む。