トランジスタ、FETの増幅についての簡単な説明


増幅作用について、
トランジスタは水道の蛇口に例えることが出来ます。
信号の強弱は、蛇口を開けたり閉めたりする動作で、その動作で水がたくさん流れたり小さく流れたりします。蛇口を開けようとする力に対して、流れ出る水流の力が大きい場合、増幅作用があると言えます。
 また、車やバイクのアクセルでも例えることが出来ます。アクセルを軽く踏んだだけで、車などが100キロ以上ものスピードを出せる力を出すというのも、トランジスタの増幅作用に似ています。

トランジスタの特徴

バイアス電流が必要(デジタル回路として使用する場合はいらない)
入力インピーダンス(交流電流を含めた抵抗)は低い
増幅率はFETに比べて高いが、波形がひずみやすい。一般的にノイズもFETに比べて多い。

端子は3本でベース、エミッタ、コレクタという名称である。

FET(電界効果トランジスタ)の特徴

バイアス電流はなくても動作する。(バイアス回路が必要ないのでトランジスタに比べ部品点数を少なくすることができる)
入力インピーダンスは高い (訂正:FETでもバイアス回路はほとんどの場合必要です。ただしゼロバイアスで作動するFET,たとえば2SK241などはバイアス回路は必要ありません。)


増幅率はトランジスタに比べて低いが、波形はひずみにくい。一般的にノイズはトランジスタに比べて少ない。
端子は3本(4本のもある)でゲート、ソース、ドレインという名称である。
これらはトランジスタで言う、ベース、エミッタ、コレクタに相当する。

ラジオの回路に限って言えば、アンテナから入ってきた電波をそのまま増幅する高周波増幅(RF増幅)や中間周波数を作り出すミキサーにFETを使用して、中間周波数増幅(IF増幅)ではトランジスタを使用します。
RF増幅ではノイズが少ないまま増幅することが要求されるのでFETが適しています。
RF増幅でノイズが多くなるとIF増幅でそのノイズも増幅されてしまうので、初段のRF増幅はノイズの少ない増幅素子が必要になります。

IF増幅では元の信号から最低でも1000倍程度(60dB)増幅する必要があるので、1石で利得を大きく稼げるトランジスタを使用します。

本や雑誌では、トランジスタとFETでは回路の設計方法が全然違う場合もありますが、ここではどちらでも通用する増幅回路しか基本的には使用しません。そうすることで、トランジスタをFETに差し替えることが出来て色々実験ができるからです。

またトランジスタにはNPN型,PNP型、FETにはN型P型と言う区別がありますが、基本的にここで扱うのはNPN型トランジスタ、N型FETだけです。実際市場でも高周波回路ではNPN型やN型しか見ません。多分NPN型,N型の方がPNP型,P型より高速に動作するからだと思います。これらのトランジスタの区別は、ここでも紹介されている本などを参照してください。


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