FinePix F900EXR:コンデジでこれだけ写れば言うことなし
一眼レフの広角レンズがほしいと思って検索したら、あることはあるが本体よりも重たい。そこでそれよりコンパクトな型落ちのマイクロフォーサース機と対応の広角レンズを探したが、安くても計6万以上はする。それなら前から気になっていた富士フイルムのFinePix F900EXRにしようと思って購入した。
店頭で触ってみると反応が俊敏で、高倍率時の手振れ補正が思いのほか良く出来ているし画質も良いから好印象だったのだ。春先では4万近くなのが今では2万を切っている。画角は35mmフィルム換算で25mm – 500mmもある。しかも望遠は更にデジタルズームで1700mmまでいく(68倍とマニュアルに記載している)。広角側も最近のデジカメではほぼ標準になりつつある25mm(もしくは24mm)なのだが、ポイントはパノラマ写真(カメラを回転させて複数枚撮影し、1枚の写真にする)が取れるので更に広角で写すことか出来るのだ。これは最初に購入を検討していた一眼レフの広角レンズより広角になる。
パノラマ写真(富士フイルムでは「ぐるっとパノラマ」という名称)は富士フイルムとソニーのデジカメなら一眼レフやミラーレスカメラでも採用されている。今ではスマートフォンでもそれが可能になっているが、コンデジとはいえFinePix F900EXRは一般的なコンデジの撮像素子より大きいので更に高画質だし、実際に写してみると等倍にして見ない限り日中はほとんど一眼レフで写したものと大して変わらない。
パノラマ写真はWeb上で作例を見ると見た目では考えられない不自然な写真が多いが、画角を180度や360度ではなく120度にすれば自然な写真が取れる。
またF900EXRは、コンデジなどで採用されている小さな撮像素子で写した写真に出やすい、ボケた部分の処理がいかにも階調の荒いデジタル処理したかのようになっておらず、比較的自然で気に入っている。ちなみにパナソニックの素子は伝統的に今でもその処理がうまくいっておらずミラーレス機でも見るに耐えない写真がある。
広角はパノラマ写真という機能を使ってスマホでも広大な写真を取れるようになったが、望遠はそうは行かない。加えて望遠は撮像素子の小さいコンデジのメリットが活きてくる。ポケットに入るコンデジで35mmフィルム換算で500mm相当の望遠が出来るのは少し前までは考えられなかった。
リコーが史上初の4倍望遠のコンデジを発表されたとき、かなり注目されていたのを覚えているが、今ではエントリークラスでも8倍とか10倍の望遠のコンデジがザラだ。
F900EXRの機能としては、一眼レフとほとんど変わりがなく、プログラムモード、シャッタースピード優先モード、絞り優先モード、マニュアルモードもある。もちろんマニュアルフォーカスは出来ない。コンデジに特有のあらゆるシーンに対応したモードももちろんある。人物専用モード、夜景専用モードなどあるが、コンデジの存在理由の一つは、すぐに取り出して各種モードなど気にせずに失敗のない写真を撮ることであり、細かい設定などをせずにそれなりに良い写真が取れてしまうEXRモードというのがある。
突如として見たことの無い動物とかUFO(笑)とかに遭遇したときはこのモードを使えば失敗は少ないだろう。しかし、このモードは3つあって、高解像度優先、高感度低ノイズ優先、ダイナミックレンジ優先がある。とっさのときは手振れしやすいので高感度低ノイズ優先を設定しておけばいいかもしれない。ぶれてしまっては高画質でも話にならない。モードダイアルにある各種モードの設定値はそれぞれ記憶しているので、EXRはとっさのとき専用という使い方も出来るだろう。しかし、記録サイズや画質(ノーマル、ファインなどの設定)は共通だ。
常に外出時には携帯し、とっさのときにきれいな写真を撮る事を想定した場合、背面の液晶モニタではやはりつらい時がある。とくに被写体が小さいものはそうだ。今回虫や鳥などを撮影したときにそう思った。やはり、ファインダーは出来れば欲しい。日中強烈な光の中での撮影でもそう思う。
F900EXRは、日中撮影用の「モニター晴天モード」というものがあり、それを設定すれば強烈な光の中でも何とか撮影できるが、このモードのままだと、写真の確認時の輝度が実際PCで見たときと違ってしまうのが問題で、加えて周囲の明るさに応じて輝度を制御していないで明るいままなのでバッテリーを食う。またこのモードの設定はメニュー階層の深いところにあるので、設定または解除が面倒。すばやく各種機能を変更でき、自分でカスタマイズする事ができる、Fnキー やE-Fnキーに「モニター晴天モード」のOn/Offが設定できない。これは電力を食ってしまうだろうが周囲の明るさに応じて輝度を自動制御してもらいたいものだ。
F900EXRのような高倍率コンデジにファインダー(もちろん搭載するとなれば電子ビューファインダー,EVFになるだろう)がついたらもう言うこと無いと思う。いずれ半導体プロセスが進化すれば将来EVF付きのコンデジが出てくるだろう。そのときは背面液晶のサイズを小さくしても筐体全体のサイズは今と変わらないようにしてもらいたい。そしてEVFを高性能、高精細なものにすれば、背面液晶の存在意義が薄まるので、消費電力を下げてバッテリーを長持ちさせるためにEVF搭載コンデジはあえて低解像度の背面液晶にするというのも一つの手だと思う。まあ、液晶ではなく有機ELモニタにすればそんなことをする必要もなくなるかも知れないが。
バッテリーの持ちは一日中バシバシ撮影したら満充電でも少々きついと思う。旅行で使用する場合、予備バッテリーがあれば心強いと思う。とくに動画撮影すると数分程度の撮影でもすぐにバッテリーはなくなってしまう。
(ちなみに動画は60フレームのフルHDに対応し、画面サイズが小さければ240フレームの撮影も可能。再生はスローモーションになる。サンプルは載せないが綺麗な事は確かである。)
一眼レフのものとは違いバッテリー自体は非常にコンパクトでかつ規格が昔から同じからなのか、多機種に対応したサードパーティのバッテリーが安価に販売されているので、それを利用してもいい。以下参照。
充電は本体で充電できず、充電器が付属している。大きさはF900EXRと比べて厚さがあるが縦横サイズは本体より小さい。コンセントの差込口部分が収納できないので携帯する時かさばってしまうのが難点だ。
バッテリーの消耗は、PCなどに写真やビデオを転送するときでも問題となる。F900EXRから無線LANを通じで写真を転送できるが、電池容量が心もとないと心配だ。スマートフォンに転送する場合は少ない枚数にとどめた方がいいと思う。充電時間は結構時間がかかる。
PCに転送する場合はカードリーダーを利用した方がいいだろう。ノートPCなら標準で付いているものが多いと思うが、改めて購入する場合は高速転送できるUSB3.0に対応したものを選んだ方がいい。ビデオが入っていたらやたら転送に時間がかかる。無論、PC側もUSB3.0に対応したポートを使用する必要がある。
以下参照
撮影サンプル
サムネイルをクリックすればオリジナルのファイルを見る事が出来ます
追加
動画1280*720 60p 無修正。風が強くその場にいるのもつらい場所。良く見ればわかるがオートフォーカスが速くない。スケールダウンしていない映像を確かめるにはYoutubeから直接見て欲しい。
波面が苦手なカメラは結構あるのだ。筆者が確認したところパナソニックのカメラ全般(全部は見てないが以下に示すハイエンド商品でも酷いのだから推して知るべし。)、EOS KissDigital6など。この様なカメラは明らかに画像処理に失敗して汚い写真になるか、ありえない波面になる。
(例えばPanasonicミラーレスで高級モデルであるLumix DMC-GX7のリンク先にあるサンプルなど)
しかし、高級コンデジPanasonic DMC-LX7は作例を見て今までのパナソニックのデジカメとは違う好印象を持ったが、後で知ったのだがソニーの撮像素子を使っているらしく、画像処理プロセッサだけのせいではなさそうだ。
リンク先のサンプルを見ればわかるが波面が自然に写っている。
高級コンデジは画質がいいのは当然だが、ズーム倍率が低く、ポケットに入るサイズではない(Sony Cyber-shot RX100はできると思うが)。高倍率のハイエンドコンデジは、スマートフォンに機能がそう簡単に吸収されるとは思えないので、富士フイルムがコンデジの事業を縮小するという報道があったが、これからも高倍率のポケットに入るコンデジは開発し続けるだろう。
パナソニックの中で唯一例外的に画質がいいと思った高級コンパクト。同社のほとんどのミラーレス機よりも写りはいいと思う。
SONYの高級コンパクト。爆発的ヒット
フジの高級コンパクト。レンズのでっぱりがなければ言うこと無い。ファインダーがついているのが良い。