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「自然は脈動する」ナチスの円盤開発にも従事したナチュラリストの思想

「自然は脈動する」ヴィクトル・シャウベルガー  amazon.co.jp

この本はヴィクトル・シャウベルガーという驚異的な観察眼を持つ森林監視員が発見した数々の不可思議な自然現象とその応用、そして彼自身の思想、理論についてまとめた本だ。

この本のオビには

「神秘のナチュラリスト」シャウベルガーの全貌を初めて紹介

と書いてあって、単なる自然を愛する思想家のように思われるが、シャウベルガーの場合はその枠を遙かに超えて、彼自身が発見した自然現象を工学的に応用し、ついにはヒトラーの目にも留まりナチスが作っていたという空飛ぶ円盤の基礎技術開発にも携わっていたという。彼は真の意味で科学者といえる人だった。

彼の最初の発見は森林監視員として川を観察していたことから始まる。マス(鱒)がなぜ急激な流れの中でじっとしていられるかを探求し始め、「水温が最も低く密度とポテンシャルエネルギーが最大となる流れの真ん中で静止する」(P.21)ことを発見した。
それを確かめるために、お湯を上流から流すとマスがその場にとどまることが出来なくなったことを確認している。

シャウベルガーはそれから更に水に対する理解を深め、自身が準監視員を務めていた森林と狩猟地の所有者、オーストリアのアドルフ王子が破産を免れる方法として、建築資材の木材運搬に川を利用する画期的方法を編み出した。当時建築業界は成長分野で木材の需要が高かったのだ。
シャウベルガーは自分の皮ズボンの下にいた蛇をつかんで川へ放り投げた後の蛇の水中での動きから発想を得て、水路のカーブ部分に導翼を取り付け、マスの観察から得た水温管理をすることにより、木材を損傷させずに運搬することに成功した。

水路のカーブ部分の導翼は水流を螺旋状に仕向けるように出来ている。つまり発射された拳銃の弾のように回転しながら前方に進むのだ。

回転する水流は水の密度を上げ、水温を低くし、この技術を応用すれば何の殺菌もせずに上水道を敷くことが可能だという。その水流自体が殺菌効果を生むからだ。加えて人体に必要なミネラルが凝縮され体に良い水になると言う。

また、水流が常に中心に行くことにより、水道管への摩擦が下がって、実験では逆に加速されることもあると確認されたという。これは木材運搬の際、水路のカーブ部分に導翼を取り付けたように、らせん回転を生む導翼を付けた特別な水道管を使用することで実現している。

このらせん回転して進む水流を応用してシャウベルガーは発電機を開発している。入力より出力が大きいいわゆるフリーエネルギーデバイスだ。

この本はシャウベルガーが独自の観察眼で得た自然の仕組みについてかなりのページを割かれており、どうやったら自然が健康でいられるかを説明している。河川や森林、農地を管理している国や地方公共団体の役人にも有益な本だと思われる。

私自身、洪水による氾濫を防ぐためにコンクリートで両脇を固められた川にすることが最適な答えなのか前から疑問に思っていたのだが、シャウベルガーはその疑問に答えてくれている。

彼の驚異的なことは思想だけではとどまらず、その思想を具現化して実際の工学応用として成果を上げたことだ。そのため当時主流派の科学者らも彼のことを無視できなくなり彼からレクチャーを受けたが受け入れられなかった。
「科学は自然とは何の関係もないものです」と量子力学の礎を作ったマックスプランクは言ったそうだ。(P.329)

また、彼の息子が正規の高等教育を受けていたため、数式を使って彼の理論を一流の科学者に説明したのだが、内容としては受け入れられるが、教科書を書き換えることになるので何もしないと述べたという。これは非常に残念なことだ。

私自身も世に広く出回っている物理、数学の本を多く読んでみたが、現代でも説明不可能な、例えばシャウベルガーも開発したフリーエネルギーデバイスを説明できるようなものはなかったので、何か隠されているものがあるのではないのかと常々思っていた。
やはり今の科学界は政治家の派閥や茶道や華道の流派のようなものに落ちぶれているのだろう。

晩年のシャウベルガーはご多分に漏れず卓越した人物必ずたどる哀れなものになっている。彼の技術を聞き出そうとアメリカに連れて行かれ詰問されて失意のうちに帰国後まもなく亡くなったのだという。また第二次大戦直後はナチスの円盤開発に携わっていた彼の彼の研究資料が旧ソ連が没収したようだ。

彼は自然が破壊されていることを憂慮し「現在の人類文明は自然の創造的エネルギーを破壊するものなので、社会には暴力がはびこり堕落が進むことになるだろう」(P.14)と予言し、今それが実現してしまっている。